推敲百話【4】「こだわりすぎの宅配ピザ」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けするのは、

ネコのシャンプー当日に利用する、宅配ピザのホームページの一部。

作り手の“こだわり”だけで、おなか一杯になりそうです。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
大切なこだわりも、適量が「吉」

【Before】

<1>本格的なイタリアンレシピにこだわった「ナ○○○窯」のピザは、外側がパリ

        ッとして中がモッチリ。

<2>素材もこだわり、手作りのおいしさを宅配・デリバリーすることを大切にして

        おります。

<3>多彩なソースでバラエティ豊かなピザメニューを取り揃え、こだわりの伸びに

        くいパスタは、ナ○○○窯のオリジナルです。

<4>できたてのナポリピザをご家庭まで心を込めてデリバリー・宅配いたします。

 

【推敲のポイント】

「こだわり」という抽象的な表現が3回も登場。

それ以外にも、改良すべきポイントがたくさんありそうです。

行ごとに確認していきます。

 

<1>

「本格的なイタリアンレシピにこだわった~」

こう書かれても、それ以上の具体的な情報に乏しい状態。

思い切って「省く」手もありそうです。

 

<2>

「素材もこだわり、~」

省略されている主語を補ってみると、

(私たちは)「素材もこだわり~」

(私たちは)「素材にもこだわり~」

と、この場合「に」を補うのが普通ですね。

 

「宅配・デリバリー」

宅配、デリバリーは、ほぼ同じ意味。

重ねて使うことに、果たして意味はあるでしょうか。

ごくシンプルに「お届け」が親切でわかりやすい表現では?

 

<3>

書き出しが「ピザ」の話題で、後半になるとパスタに“急変”。

読み手に負担をかける、理解しづらい文章の典型例です。

 

<4>

「ナポリピザ」

今までにない表現、それも固有名詞が最終行で初登場。

いかにも唐突な印象です。

 

「宅配・デリバリー」

2度目の登場、しかも「デリバリー・宅配」と語順が変わっています。

重複に加え、不統一も気になるところ。

 

以上のように、かなりの重症と見ました。

例によって、まずは伝えたい内容を整理してみます。

 

<1>ピザは外側パリッ、中がモッチリ

<2>素材を厳しく選び、手作りのおいしさをお届け

<3>ピザは多彩なソースでバラエティも豊か

        パスタは伸びにくく、当店のオリジナル

<4>できたてのピザを、ご家庭まで心を込めてお届け

 

ここまでシンプルにしてみると、

「ムダ」や「無理」がはっきり浮かびあがります。

 

ここで推敲の方針を明確にしていきましょう。

・「デリバリー」(お届け)が2度も出てくる

 →説明の順序を考え、文章の最後にまとめます。

・パスタの説明が中途半端

 →説明が「伸びにくい」「オリジナル」のみなら、思い切って削除。

・原文にある「こだわり」の重複使用

 →これは避けます。

 

いよいよ文章を組み立ててみます。

・ピザの「バラエティ豊か」には、「23種類」を加えて具体的に

・もっともチャーミングな「外側パリッ、中がモッチリ」を強調

・素材=「選び抜く」という表現で

 

【After】

選び抜いた素材の力で、外側パリッ~中はモッチリ!

「ナ○○○窯」の手作りピザは、多彩なソースが生み出す23種のバラエティ。

本格的なイタリアンレシピの味わいを、心を込めてお届けします。

 

お読みいただいた感じは、いかがでしょうか。

ひと通りの要素を盛り込みつつ、極力スリムにしてみました。

とはいえ、

素材にしても、ソースにしても、手作りにしても、お届けにしても、

本当に読み手が知りたい、詳細な情報がないことに改めて気づかされます。

 

【今後へのメモ】

「本格的」「心を込めて」「こだわり」「多彩な」

など、よく使われる便利な言葉に、

実は、しっかり説明する力がないことがわかります。

 

それにしても、

ものの魅力を言葉で説明することは、難しいですね。

伝えるべき要素は、どこにあるのか――。

それを読み手の視点で掘り起こすことが、とても重要なのです。

 

ちなみに、

家内も私も「ナポリの窯」のピザは“お気に入り”です!

 

ありがとうございました。

 

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