推敲百話【5】「車内への貴重品は、置かないで」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けする“衝撃の”ショットは、

Face Book上でKeiko Hashimotoさんから頂戴したもの。

都内、某病院の駐車場に掲示されていたもの――だそうです。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
「文字色を替えて強調」は、よいアイデアなのですが…

【Before】

車内への貴重品は、

置かないで下さい。

 

【推敲のポイント】

この文の骨格は、次の2つです。

「貴重品を」→「置かないで」

「車内に」→「置かないで」

 

すなわち、「置かないでください」が、

「貴重品を」と「車内に」という、

2つの言葉を“おんぶ”しているイメージです。

 

このようなケースでは、

“おぶいひも”にあたる「てにをは」に気を配りつつ、

言葉の順序をあれこれと変えながら、考えてみるとよいでしょう。

 

【After】

<1>

貴重品は車内に置かないでください。

(標準的な語順)

<2>

車内に貴重品を置かないでください。

(「車内」を先頭に出して強調した語順)

 

写真の例文を書かれたのは、

駐車場の管理に強い責任感を持っている方。

その責任感から「車内」を強調されようとしたのです。

ところがそのとき、

映画館などでよく見かけるこんな貼り紙を

思い出してしまったのですね。

 

場内への危険品の持ち込みは、

固くお断りします。

 

その結果、

ついつい「車内への~」と書き始めてしまったのだと、

私は思います。

 

それにしても、

周囲の職員の方は、なぜ「おかしい」と言い出さないのでしょう。

「組織の風通しは、大丈夫なのだろうか」と、

余計なことまで心配になってきます(笑)

 

ありがとうございました!

 

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