モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回お届けする“衝撃の”ショットは、
Face Book上でKeiko Hashimotoさんから頂戴したもの。
都内、某病院の駐車場に掲示されていたもの――だそうです。
【Before】
車内への貴重品は、
置かないで下さい。
【推敲のポイント】
この文の骨格は、次の2つです。
「貴重品を」→「置かないで」
「車内に」→「置かないで」
すなわち、「置かないでください」が、
「貴重品を」と「車内に」という、
2つの言葉を“おんぶ”しているイメージです。
このようなケースでは、
“おぶいひも”にあたる「てにをは」に気を配りつつ、
言葉の順序をあれこれと変えながら、考えてみるとよいでしょう。
【After】
<1>
貴重品は車内に置かないでください。
(標準的な語順)
<2>
車内に貴重品を置かないでください。
(「車内」を先頭に出して強調した語順)
写真の例文を書かれたのは、
駐車場の管理に強い責任感を持っている方。
その責任感から「車内」を強調されようとしたのです。
ところがそのとき、
映画館などでよく見かけるこんな貼り紙を
思い出してしまったのですね。
場内への危険品の持ち込みは、
固くお断りします。
その結果、
ついつい「車内への~」と書き始めてしまったのだと、
私は思います。
それにしても、
周囲の職員の方は、なぜ「おかしい」と言い出さないのでしょう。
「組織の風通しは、大丈夫なのだろうか」と、
余計なことまで心配になってきます(笑)
ありがとうございました!

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