推敲百話【8】「ホテルに来客する」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けする物件は、

先日、打ち合わせで伺った汐留の、某ホテル入口で発見したもの。

「なんかへん」じゃないですか、これ?

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
確かに「来客」ではあるのですが…

【Before】

当ホテルでは、特別警備実施に伴い、

来客される方々に対し身分証の確認及び手荷物の検査を

させていただく場合がございます。

 

【推敲のポイント】

皆さん、すでにお気づきのことでしょう。

“違和感センサー”の点滅は「来客される方々」というところ。

(「させていただく」は、また別の機会に…)

 

この文の主体がホテルの場合=「来客される」

ならば、

主体を私たちに置き換えると=「来客する」

と、なります。

「来客する」……。私たち普段、使うでしょうか?

 

ごく普通の感覚で、

「ホテル~」に続く言葉を探してみるならば、

・ホテルに宿泊する

・ホテルで待ち合わせる

・ホテルを利用する

……「ホテルに来客する」とは言いませんよね。

 

これは、いわば「言葉の選び方」の間違い。

書かれた方がご自身で読み返して、

「おかしいな」と、気づかれればよかったのですが。

 

【After】

特別警備の実施に伴い、

当ホテルではご利用になる皆様に、身分証の確認および手荷物の検査を

お願いする場合がございます。

 

【今後へのメモ】

冒頭、語順を替えたのは、「警備のモノモノしさ」の強調。

また、「特別警備実施」→「特別警備の実施」は、

不用意な漢字の連続使用を避け、読みやすくする狙いです。

 

「ご利用になる」という表現のしかたは、

当シリーズの【2】でお話ししたことと同様です。

 

「させていただく」について、ここでは深く触れませんが、

「お願いする」で十分。

加えてこのほうがスムーズな表現ではないでしょうか。

 

ありがとうございました!

 

>>推敲百話【7】「ハトフンってご存じですか?」の巻へ

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