モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回お届けする物件は、
先日、打ち合わせで伺った汐留の、某ホテル入口で発見したもの。
「なんかへん」じゃないですか、これ?
【Before】
当ホテルでは、特別警備実施に伴い、
来客される方々に対し身分証の確認及び手荷物の検査を
させていただく場合がございます。
【推敲のポイント】
皆さん、すでにお気づきのことでしょう。
“違和感センサー”の点滅は「来客される方々」というところ。
(「させていただく」は、また別の機会に…)
この文の主体がホテルの場合=「来客される」
ならば、
主体を私たちに置き換えると=「来客する」
と、なります。
「来客する」……。私たち普段、使うでしょうか?
ごく普通の感覚で、
「ホテル~」に続く言葉を探してみるならば、
・ホテルに宿泊する
・ホテルで待ち合わせる
・ホテルを利用する
……「ホテルに来客する」とは言いませんよね。
これは、いわば「言葉の選び方」の間違い。
書かれた方がご自身で読み返して、
「おかしいな」と、気づかれればよかったのですが。
【After】
特別警備の実施に伴い、
当ホテルではご利用になる皆様に、身分証の確認および手荷物の検査を
お願いする場合がございます。
【今後へのメモ】
冒頭、語順を替えたのは、「警備のモノモノしさ」の強調。
また、「特別警備実施」→「特別警備の実施」は、
不用意な漢字の連続使用を避け、読みやすくする狙いです。
「ご利用になる」という表現のしかたは、
当シリーズの【2】でお話ししたことと同様です。
「させていただく」について、ここでは深く触れませんが、
「お願いする」で十分。
加えてこのほうがスムーズな表現ではないでしょうか。
ありがとうございました!

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