モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回お届けするのは、
たまたまご近所に支店がある、某宅配すしチェーンのWebページの一部。
わかりやすい例文がありましたので、お借りすることにしました。
【Before】
まろやかな酸味とコクのある保存料を含まないお酢。
【推敲のポイント】
有名な「笑い話」に、こんなものがあります。
ご存じでしたか?
――とある銭湯の下足場に、貼り紙がありました。
「ここではきものを脱いでください」
これを読んだ客の一人が、いきなり下帯(=ふんどし)姿に!
慌てた店主は貼り紙に「 、」(読点)を書き足しました。
「ここで、はきものを脱いでください」
店先で突然、裸になってしまった人は、
「ここでは、きものを脱いでください」
と、読んでしまったというワケです――。
(おしまい)
さて、例文も「 、」(読点)が正しく打たれていないために、
大きな誤解を生む危険性をはらんでいます。
・まろやかな酸味とコクのある→「保存料」
・まろやかな酸味とコクのある→「お酢」
という、2通りの読まれ方をしてしまうのです。
【After】
まろやかな酸味とコクのある、保存料を含まないお酢。
「 、」(読点)をひとつ打つことによって、
「まろやかな酸味とコクのある」
「保存料を含まない」
の両方が、「お酢」にかかっていることがはっきりしました。
【今後へのメモ】
ついつい習慣で打ってしまいがちな「 、」(読点)ですが、
簡潔な文章を書くうえでは、
とても重要な役割を果たしているのです。
私たちも、
「客人をいきなり裸にしてしまう」ことのないように、
注意していきましょう。
最後になりましたが、
家内も私も、貴店のファンです!
ありがとうございました。

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