推敲百話【10】「座席のシートっておかしくない?」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けするのは、

すっかりおなじみの鉄道モノ。

「座席のシートに~」という表現にかなりの“違和感”が……。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
SeatとSheetの微妙な関係

【Before】

座席のシート切りは犯罪です!

座席を切る行為は、刑法第261条等により罰せられます。

目撃したり、発見した場合は係員にお知らせ下さい。

(以下略)

 

【推敲のポイント】

違和感の原因は、

「座席とシート、同じ意味では?」

という疑問。

 

「座席」は英語で「シート」。

(シルバーシート、リクライニングシートなどでおなじみですね)

すなわちこの場合、

「座席のシート切り~」=「シートのシート切り~」

と、明らかな重複ではないかと感じたのです。

 

そこで、さっそく確認してみると――。

シート【seat】  =席。座席

シート【sheet】=薄い紙などの1枚。日よけ・雨よけなどに使う大きな防水布

(大辞泉より)

 

なるほど、

シートは「座面の布地」(sheet)

(=クッキングシート、レジャーシートと同じ用法です)

という意味で使われているようです。

 

なんと、まぎらわしい!

 

2行目で「座席を切る行為は、~」と書いているのですから、

1行目もそれに合わせて、

「座席切りは犯罪です!」で、よいのかもしれません。

(ちなみに刑法261条は、器物損壊罪だそうです)

 

【After】

シート切りは犯罪です!

座席を切る行為は、刑法第261条等により罰せられます。

目撃、発見された場合は係員にお知らせください。

 

先に考えていた「座席切りは犯罪です!」とすると、

最初の「漢字×3」が重く感じます。

 

そこで、大文字で強調する見出しでは「シート切り」、

具体的な説明をする本文では「座席を切る行為」と、

使い分けてみることにしました。

 

ある種の「玉虫色の決着」なのですが、

この語順であれば、最初の「シート」を、

「座席」「座面の布地」のどちらに解釈してもOK。

しかも、言葉の重複感を解消できる――と、

とても都合よく(!)考えた解決策です。

 

【今後へのメモ】

ちなみに「目撃したり~」のところで登場する「~たり」は、

「~たり、~たり」と重ねて使うのがルール。

このケースでは、

「目撃されたり、発見されたりした場合は係員に~」

と、長くなってしまいます。

(「される」は「する」の尊敬表現)

 

そこで、

「目撃、発見された場合は係員に~」

と、コンパクトにまとめました。

ずいぶんスッキリしたと思いますが、いかがでしょう。

 

ありがとうございました!

 

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