推敲百話【11】「独自の自主基準」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けするのは、

環境、食の安全をテーマに活動されているグループの折り込みチラシの一節。

活動の趣旨、方向にはおおいに共感するのですが、

偶然にも「わかりやすい例文」を発見してしまいました。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
冒頭から“違和感センサー”が激しく反応!

【Before】

○○○○○では独自の自主基準を定めています。

生産者はその自主基準に基づき、情報を公開。

組合員は生産現場の製造環境や製造工程を確認し、

自主基準に沿って製造されているかチェックすることができます。

 

【推敲のポイント】

“違和感センサー”の点滅は、最初の行から。
「独自の自主基準」という言い方では、明らかに意味がダブってしまいます。

 

独自=他とは関係なく自分ひとりであること。また、そのさま。
自主=他からの干渉や保護を受けず、独立して事を行うこと。
(大辞泉より)


ごく一般的な見方として、
「独自」ではない「自主基準」
「自主」ではない「独自基準」は“ほぼ”あり得ないと考えてよいでしょう。

 

ここで“ほぼ”としたのは、
「他グループと共同で自主基準を設ける」
「外部でつくられたものを独自基準として採用する」
などの可能性が残ると考えたからです。

 

次に、おなじみの重複をチェックしてみます。

・「自主基準」=3回

・「製造」=3回

特に後者には「生産」という言葉もからんできますので、要整理です。

 

3行目、

「生産現場の製造環境や製造工程を~」には、

大いに推敲の余地あり――ですね。

 

原文では“なぜか”不明確だった、

自主基準が「何を定めた基準なのか」を補いながら、

推敲を進めてみましょう。

文脈から、

基準は「加工食品の製造」についてのものと考えてみます。

 

【After】

○○○○○では加工食品の製造について独自の基準を設けています。

生産者はその規定に基づいて情報を公開。

組合員は生産現場の環境や製造工程を調査し、

基準が守られているかどうかを確認できます。

 

【今後へのメモ】

懸案の「基準」については、以下のとおり言い換えてみました。

・初出 =独自の基準(自主~は省きました)

・2度目=その規定(「基準」と「基づき」の重複を回避)

・3度目=基準

いずれも音読した際の響き、流れ、重複の回避などを考慮したものです。

 

同じく懸案の「生産現場の~」以下についても、

「生産現場の環境や製造工程」とし、だいぶスッキリしたと思います。

考えてみると「製造環境」という言い方は、あまり使われません。

 

念のため、最後に……。
本稿は「チラシを配布された団体」の活動等に異を唱えるものではありません。
(私自身、同じ方向を目指す者の一人です)

 

ありがとうございました!

 

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