推敲百話【13】「気配りのできる親切な“建物”」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けするのは、

打ち合わせに出向いた某私鉄駅に隣接する建物の案内板。

感動のあまり、カメラが傾いてしまいました。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
気配りのできる親切な“建物”です!

【Before】

この建物は図示の所に

駐車場・バイク置場・駐輪場を用意しています。

 

日本語は「主語」があいまいなことで知られています。

あの有名な一節、

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

を英訳しようとすると、

・私

・列車

・私を乗せた列車?

「さて、主語はなんだ?」という話になるそうです。

 

日本語は主語を略すことが多く、

「愛している」

だけで通じる“ありがたい”言語なのですね。

 

【推敲のポイント】

では、例文を見てみましょう。

 

この一文でいわゆる主語にあたるモノは、

「この建物」

述語にあたるのは、

「用意しています」

 

すなわち、この文の「骨格」は、

「この建物は、用意しています」となります。

この骨格に、

「駐車場」以下の荷物が載っているスタイルです。

 

さて――。

モンダイは無機物である「建物」が「用意」をするか?

という点です。

 

「用意」するのは、

この建物を運営している企業なり、

入居しているテナントなり……であるハズ。

 

「この建物は、用意しています」

という「骨格」そのものに無理があることがわかります。

 

【After】

駐車場、バイク置き場、駐輪場はこちらです。

 

「図示の所」は、いかにも“上から目線”な表現。

そもそも略図に添えられた文ですので、

「こちらです」

で十分でしょう。

 

【今後へのメモ】

原文に近づけるのなら、

この建物の駐車場、バイク置き場、駐輪場はこちらです。

と、する手があります。

 

しかし、

わざわざ「ほかの建物」の駐車場を案内するワケはないので、

これも余計なこと――と言えますね。

 

文章を書いていて、

頭がコンガラガリソウになったときは、

「なにが、どうした」という、

その文の「骨格」がしっかりしているかどうかを、

ぜひ、確認してみてください!

 

ありがとうございました。

 

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