推敲百話【14】「文章も“一口サイズ”が食べやすい」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

今回お届けするのは、

本日届いた朝刊の紙面から――。

証券取引所関係の「講座」の案内文が目に止まりました。

決して「誤り」ではないのですが、工夫次第でもっと読みやすくなりそうです。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
文章はスパゲティーよりペンネが「吉」です!?

【Before】

入門講座(無料)

証券投資初心者の方でも証券や経済の基本的な仕組みが理解できるように、

経済や金融に関するニュースと株価との関連などについて、

 分かりやすく解説する、次に進むための講座です。

(84字)

 

書店に居並ぶ「文章術」の本――。

前半戦の“定番メニュー”とも言えそうなのが、

「一文を短く」です。

 

よく目にするのは「60字以内に」というフレーズ。

いちいち数えるのはたいへんですが、

たとえば「ワード」のデフォルト設定で書いているときに、

文が2行にわたる(≒40字以上)になったら、

「ちょっと長いかな?」

と、注意する方法が覚えやすいですね。

 

【推敲のポイント】

さて、例文を見てみましょう。

(スクロール、面倒ですね…。すみません!)

 

見出し「入門講座(無料)」を除いた文字数は84字。

「文章術の本」に従えば、イエローカードでしょうか。

音読してみると、確かに長く感じます。

 

まずは前回(推敲百話【13】)のように、

この文章の「骨格」を確認していきましょう。

 

「入門講座(無料)」と見出しで明示し、

本文では「この入門講座は~」という主語が省かれています。

主語を補いながら「骨格」を探ってみると、

次のようになります。

 

「骨格」=

(この入門講座は)証券投資の初心者でも理解できる講座です。

 

これを軸に、

次のような肉付けをしたのが、原文ですね。

・証券や経済の基本的な仕組みが理解できるように(=目的)

・経済や金融に関するニュースと株価との関連などについて(=内容)

・分かりやすく解説する(=方法)

・次に進むための(=感覚的な修飾語)

 

文章を「2つに分ける」にはいろいろな考え方、方法がありますが、

このケースでは、最初に「骨格」を明示する!

という作戦で臨んでみることにしましょう。

 

【After】

<1>

証券投資初心者の方でも、

証券や経済の基本的な仕組みが理解できる“次に進むための”講座です。

経済や金融に関するニュースと株価との関連などについて、

分かりやすく解説します。

(45字+39字=84字)

 

まずは「骨格」+「目的」を明示。

「次に進むため~」は、感覚的な表現であることを強調するため、

ダブルクォーテーション “ ” でくくりました。

ここまでで、一文。

 

続いて「内容」+「方法」で一文。

どちらの文も、

「この入門講座は」という主語が省略されている形です。

 

ボリュームを変えず、2つの文に分けてみました。

いかがでしょうか?

まだ、改良の余地がありそうです。

 

<2>

証券投資の初心者でも、

証券や経済の基本的な仕組みが理解できる講座です。

経済や金融に関するニュースと株価との関連などについて、

分かりやすく解説します。

(35字+39字=74字)

 

さらに2点、改良を加えてみました。

・「初心者の方」→「初心者」

 「者」と「方」には意味の重複があります。

 省いても失礼にはあたらないという判断です。

 

・「次に進むための」→削除

 いったんは “ ” でくくる工夫をしたのですが、

 抽象的な表現で特に必要ではないと判断。

 

【今後へのメモ】

原文 =84字

<1>=84字

<2>=74字

――と、推敲を重ねながら文章のスリム化に成功しました。

 

原文と<2>を「音読」で比較していただければ、

文意が“アタマにスッと入る”滑らかさを

実感していただけるのではないでしょうか。

 

「一文を短く」は、

文意を相手に届けるスピード、滑らかさを

アップさせる技術なのです。

 

初めてのデート、緊張する会食――。

パスタならスパゲティーより、短いペンネのほうが、

食べやすくないですか?

 

ありがとうございました。

 

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