モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回は待望の投稿物件の登場です!
FBでもお付き合い願っている青木将幸さんが、
福島へ出かけられた際に“とある神社”で撮影されたもの。
ありがとうございます!
では、心を込めて推敲させていただきます。
【Before】
ジャンルを問わず神楽殿で
コンサートやそれぞれの発表の場にしてみませんか!!
一般に無料で開放いたします。
バンド・大正琴・マジック・アンサンブル
ジャズ・舞踏・民謡・伝統○○・三味線等
看板を拝見すると、
神社のスペースを市民に活用してもらおうという、
“素晴らしい取り組み”をされていることがわかります。
残念なのは2つの大きなミスがあること。
例によって「推敲」で解決してみましょう。
【推敲のポイント】
ひとつは、
「神楽殿で~発表の場にする」
↓
「神楽殿を~発表の場にする」
という「てにをは」の修正プラスアルファで解決できます。
<原文>
ジャンルを問わず神楽殿で
コンサートやそれぞれの発表の場にしてみませんか!!
一般に無料で開放いたします。
↓
神楽殿をコンサートなど発表の場に
してみませんか?
ジャンルを問わず無料で開放いたします。
――いかがでしょう。
きっと「こう言いたかった」のだと思います。
もうひとつは、
「バンド・大正琴・マジック~」と、
「ジャンルを問わず」を2行にわたって例示したパート。
主な違和感の対象は、こちらです。
一般に物事を列挙する場合、
「情報の深さをそろえる」のが原則です。
たとえば、
×=中華・フレンチ・天ぷら
○=中華・フレンチ・和食
「天ぷら」は和食の種類のひとつ。
いわば、和食のひとつ下の階層に属する言葉で、
この場合、適当ではありません。
同様に、
×=東京、米国、中国
○=日本、米国、中国
「東京」は日本の都市のひとつ。
この場合は「日本」とするのが自然です。
さて、例文を見てみましょう。
バンド・大正琴・マジック・アンサンブル
ジャズ・舞踏・民謡・伝統○○・三味線等
ざっと分類してみると、
・バンド=音楽を演奏するグループの形態のひとつ
・大正琴=楽器の一種
・マジック=芸術表現、演芸の一種
・アンサンブル=音楽を演奏するグループの形態のひとつ
・ジャズ=音楽のジャンルのひとつ
・舞踏=芸術表現、演芸の一種
・民謡=音楽のジャンルのひとつ
・三味線=楽器の一種
全体を整理すると、次のようになります。
(音楽)→「バンド、アンサンブル」→「ジャズ、民謡」→「大正琴、三味線」
<形態> <ジャンル> <楽器>
舞踏 ――
マジック ――
「バンド、アンサンブル」「ジャズ、民謡」「大正琴、三味線」
という6つの単語は、
いずれも(表記のない)「音楽」というカテゴリーに属し、
「舞踏」「マジック」は「音楽」と同じ階層にある。
と、言うことができます。
つまり原文では、
情報の深さがバラバラな単語を列挙するという、
いわば「反則」を犯していたわけです。
【After】
神楽殿を発表の場にしてみませんか?
音楽・舞踏・マジックなど
ジャンルを問わず無料で開放いたします。
具体例の列挙を本文と一体化させてみました。
「コンサートなど」は、
「音楽・舞踏・マジックなど」と重なるため削除。
だいぶスッキリしたと思います。
【今後へのメモ】
情報の深さの違いを無視して列挙してしまう――。
油断すると、私たちが日常的に書く文章でも多く発生します。
気をつけていきましょう。
最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。

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