モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回は今日の朝刊で発見した“驚くべき”物件です。
専門の記者が書いたとは、とても思えない内容――。
皆さんは、どのように感じられるでしょうか。
【Before】
広いナゴヤドームでは、
いつもこのような展開になるそうで
「対策を考えないと」と語っていた。
【推敲のポイント】
記事はプロ野球・セリーグ「クライマックスシリーズ」で、
中日がヤクルトを下し、
ファイナルステージ進出を決めた試合の翌日の掲載。
ヤクルト小川監督の「敗戦の弁」です。
「いつもこのような展開になる」というのは、
ナゴヤドームはグラウンドが広く、
投手有利な試合が多いという意味なのですが、
モンダイは、
「なるそうで」
という極めて拙い表現――。
こうした傾向があることは、いわば球界の常識。
しかも、今年に限らずヤクルトは「このパターン」で苦戦しているのですから、
「~なるそうで」という書き方は、
明らかに、いい加減。
とても野球担当の記者が書かれた内容とは思えません。
【After】
広いナゴヤドームではこうした展開が多く、
「対策を考えないと」と来期を見据えていた。
【今後へのメモ】
あらためて読み返すと、
最後の「語っていた」も、ずいぶん投げやりな表現――。
やはり、ぎりぎりまで粘ったものの、
時間切れ、根気切れになってしまったのでしょう。
この内容で送稿しなければならなかった心境は、
痛いほどわかるのですが、
せめて「来期を見据えた」くらいでまとめてほしかったところです。
ちなみに本稿、
赤羽博之がヤクルトスワローズをこよなく愛していることとは
無関係です!
ありがとうございました。

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