モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
久々に投稿物件第4弾のお届けです。
お送りいただいたのは、Keiko Hashimotoさん。
外食チェーンの創業者で、都知事選にも出馬された“あの方”の
挨拶文の冒頭、「重複ではありませんか?」とのご指摘です。
拝啓 桜満開に咲く今日この頃、
皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
【推敲のポイント】
今回のご指摘は、時候の挨拶の中での出来事。
「桜満開に咲く」という言い方は、言葉が重複し不自然では?
とのおたずねです。
まずは「満開」と「咲く」について、
例によって大辞泉さんに教えてもらいましょう。
「満開」=花が十分に開くこと。また、すべての花が開くこと。はなざかり。
「公園の桜が―になる」
「咲く」=花のつぼみが開く。開花する。
「大輪の花が―・く」「ぼたんが見事に―・く」
――なるほど。
「満開」には「花が(十分に)開く」とあり、
「咲く」の「開花する」と見事に重複していることがわかります。
それ以前に、「満開」を使うなら「~満開になる」とすべきで、
「満開に咲く」というフレーズ自体が、日本語として不自然ですよね。
【Before】
拝啓 桜満開に咲く今日この頃、
皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
↓
【After】
拝啓 桜花爛漫の候、
皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
【今後へのメモ】
4月のご挨拶はほかにもたくさんあるのですが、
「満開」に近いニュアンスでは、
「桜花爛漫」という言い方があるようです。
「満開に咲く」も、そうなのですが、
「今日この頃」というフレーズをこの場所で使うこと自体、
こういった文面をあまり書かれた経験のない方に、
作成を命じてしまったのでしょう。
以前も触れましたが、
日本の手紙文や挨拶は、喜んだり祈ったりタイヘンですね。
仕事で書く際には“お互いに”気をつけていきたいものです。
ありがとうございました!

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