推敲百話【24】「桜満開に咲く」の巻

モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。

久々に投稿物件第4弾のお届けです。

お送りいただいたのは、Keiko Hashimotoさん。

外食チェーンの創業者で、都知事選にも出馬された“あの方”の

挨拶文の冒頭、「重複ではありませんか?」とのご指摘です。

失礼ながら“勝手に”推敲いたします。
寒いので、季節を先取りといきましょう…

拝啓 桜満開に咲く今日この頃、

皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

【推敲のポイント】

今回のご指摘は、時候の挨拶の中での出来事。

「桜満開に咲く」という言い方は、言葉が重複し不自然では?

とのおたずねです。

 

まずは「満開」と「咲く」について、

例によって大辞泉さんに教えてもらいましょう。

 

「満開」=花が十分に開くこと。また、すべての花が開くこと。はなざかり。

     「公園の桜が―になる」

「咲く」=花のつぼみが開く。開花する。

     「大輪の花が―・く」「ぼたんが見事に―・く」

 

――なるほど。

「満開」には「花が(十分に)開く」とあり、

「咲く」の「開花する」と見事に重複していることがわかります。

 

それ以前に、「満開」を使うなら「~満開になる」とすべきで、

「満開に咲く」というフレーズ自体が、日本語として不自然ですよね。

 

【Before】

拝啓 桜満開に咲く今日この頃、

皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。

【After】

拝啓 桜花爛漫の候、

皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

【今後へのメモ】

4月のご挨拶はほかにもたくさんあるのですが、

「満開」に近いニュアンスでは、

「桜花爛漫」という言い方があるようです。

 

「満開に咲く」も、そうなのですが、

「今日この頃」というフレーズをこの場所で使うこと自体、

こういった文面をあまり書かれた経験のない方に、

作成を命じてしまったのでしょう。

 

以前も触れましたが、

日本の手紙文や挨拶は、喜んだり祈ったりタイヘンですね。

仕事で書く際には“お互いに”気をつけていきたいものです。

 

ありがとうございました!


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