モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
今回ご紹介は、昨年12月上旬にわが家に届いた新聞の広告の一部です。
某有名出版社の書籍広告に、
希少物件ともいえる箇所を発見してしまいました。
原因とプロセスはいまだ未確定である。
【推敲のポイント】
有名どころの出版社の広告で、
この種の初歩的な誤りは比較的、珍しいかもしれません。
すでに皆様お気づきのとおり、
「いまだ未確定」という表現には明らかな“誤り”が隠れています。
「いまだ」について、
例によって大辞泉さんに教えを乞うことにしましょう。すると……!
いま‐だ【▽未だ】[副]
1 今になってもまだ実現していないさま。「―はっきりしない事故原因」
2 以前のままであるさま。「周囲の山々は―冬の装いである」
――大げさに驚くほどのことではないのですが、
「いまだ」を漢字で書くと、未解決の「未」が登場。
つまり、「いまだ未解決」と書いてしまうと、
「いまだ・いまだ解決(せず)」と、見事に重複してしまうのです。
【Before】
原因とプロセスはいまだ未確定である。
↓
【After】
原因とプロセスは未確定である。
【今後へのメモ】
最も有名な?「馬から落馬」以外にも、
注意すべき類例(=重言・じゅうげん)はたくさんあります。
少しあげておきましょう。
× 製造メーカー
○ メーカー、製造業者
× IT技術
○ IT、情報技術
「T」はTechnology(技術)の略。
× 排気ガス
○ 排出ガス、排ガス
よく使われますが、
「気」は「気体の“気”」でガスと同じ意味です。
いやはや、日本語は難しいですね……。
最後になりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました!

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