モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
久々の更新となる今回、おなじみ新聞広告の登場です。
今朝、日経を読んでいると、
カラダがよじれてしまうような広告の文面が目に止まりました。
“違和感センサー”が反応した問題箇所とは?
現在、携帯電話の普及率は、
世界人口の75%にまで浸透しているという。
【推敲のポイント】
日経新聞ではおなじみの「本日上場」という企業広告。
あの「パソコン用メガネ」をヒットさせた某メガネメーカーの
全15段(=1ページ)を眺めていると、
なんとも落ち着かない一節に目が止まりました。
この問題点は以前にも取り上げたことがあるのですが、
やはり、油断すると起きるのですね。
しかも企業にとっては「社史に残る」広告の文面で……。
(広告の責任者の方、今宵はどちらにいらっしゃいますか?)
あらためて申し上げるまでもなく、
「普及率は→浸透している」というところ――。
「主と述」が正しく結びついていません。
丁寧に確認(オススメは音読!)さえすれば、
発見できたと思うのですが、
この物件は「残念な日本語」のまま、世に出てしまったのです。
ちなみに企業スローガンは「未来を見るメガネ」。
未来だけではなく、
今後は「広告の文面を見るメガネ」も、ぜひ……。
【Before】
現在、携帯電話の普及率は、
世界人口の75%にまで浸透しているという。
↓
【After】
現在、携帯電話の普及率は、
世界人口の75%にまで達しているという。
上記のように「普及率は→達している」とするか、
または……
現在、携帯電話は、
世界人口の75%にまで浸透しているという。
「携帯電話は→浸透している」とするか。
いずれかが、わかりやすい推敲例といえるでしょう。
それにしても、
「世界人口の75%」って、誰が調べたのでしょうかね……。
そちらも(主述のすれ違い以上に!)心配になります(笑)
【今後へのメモ】
直接メガネについて述べた部分ではなく、
いわば“外堀を埋める”段階での痛恨のミス――。
広告代理店の担当者、責任者の方はじめ、
多くの皆さんがチェックされたにもかかわらず、
やはり、ミスは起きてしまう。
私自身も、
あらためて「言葉や文章」を扱う仕事の難しさ、
そして、怖さを確認することになりました。
お互いに気をつけてまいりましょう!
ちなみに、
人生の大半の時間をモニターの前で過ごす私も、
これをご縁に「青い光」のカットを検討したいと思います。
ありがとうございました。

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