モンダイな文章を推敲で解決する「勝手にビフォーアフター」。
久々の更新となる今回は、モノの数え方の登場です。
ここ数日間、東京近辺では電車も止まるほどの雷雨に見舞われています。
某大手ポータルサイトの「落雷情報」を見たところ、
少々怪しげな物件に“違和感センサー”が反応したのですが……。
落雷1発が+マーク1個で表示され、
発生時間帯により色分けされています。
【推敲のポイント】
世の中のあらゆるモノには、数え方がある――。
これはご説明するまでもないことですね。
馬やゾウは1頭、猫や犬は1匹。
これらは、おおまかな大きさで区別します。
(共同通信社『記者ハンドブック』第12版)
ユニークなところでは、
三味線「さお・丁」、太鼓は「張り」。
このあたりは有名でしょうか。
ほかに、
なぎなた「振り」、はかま「腰」。
これらは私も“数えた経験”がありません……。
さて、肝心の「落雷」の数え方は?
残念ながら『記者ハンドブック』(前出)には出てきません!
掲載のある、養殖池「面」、香炉「基」などよりも、
数える頻度は高そうですが(笑)
ここで、ひと昔前の編集者ならば、
「大宅文庫へ行ってきま~す!」で、半日仕事だったのですが、
さっそくネットでいくつか当たってみることにしましょう。
【1】IBC岩手放送さんのサイトには、
「閃光」は「1本・2本」で、「落雷」は「1個・2個」で数えます。
という記載があります。
【2】『日本人の数え方がわかる小事典』
(飯倉晴武;PHP新書)には、
雷の閃光は本、あるいは条、閃、筋などで数え、落雷は個である。
という記載があることが分かりました。
どうやら「個」が有力のようです。
【3】本家「気象庁」のサイトを見ると、
落雷そのものは「個」。
被害が発生した落雷害は「件」。
と、数えています。
ここまで調べてみた限りでは、やはり「個」が一般的なようです。
落雷を「~発」で数えるのは、
ポータルサイトに情報を提供している企業特有の流儀なのでしょう。
ちなみに、
「~発」で数えるものといえば、
花火、ミサイル、パンチ、おなら、大砲、銃弾、銃声、爆弾……。
何か「破裂」「爆発」する感じのものですね。
ほかに
「ファイト一発!」「リーチ一発」も有名?ですが、
これは意味が違うようです。
【Before】
落雷1発が+マーク1個で表示され、
発生時間帯により色分けされています。
↓
【After】
落雷1個が+マーク1個で表示され、
発生時間帯により色分けされています。
いちおう水戸黄門の印籠のように、
【Before】→【After】のカタチにしてみましたが、
それが「流儀」であれば、
もちろん、あえて修整する必要がないことは明らかです。
【今後へのメモ】
「1発」を「1個」に入れ換えて気づいたのですが、
「1個→1個」と明らかに言葉が重複します。
この気象サービス会社さん、
日本語としての美しさを優先し、
「個」の重複を回避されたのかもしれません……。
今度、機会があれば伺ってみたいと思います。
ありがとうございました。

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