一生懸命書いたのに、
「思い」が読み手に伝わらない。
あるいは、提出した報告書が
上司の机に放置されたままになっている。
こんな経験は、ありませんか?
あなたの文章は、なぜ伝わらないのか。
なぜ読まれないのか――。
その原因について、
ご一緒に考えていきましょう。
“ちょっとした”80のコツ?
伝わる文章を書くのは、なかなかたいへんです。手もとにある「文章の書き方」の本を見ると、こんな表紙のうたい文句が目に止まります。
・伝わる文章が書ける76の簡単テクニック
・今スグ使えるちょっとした80のコツ
・簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック
「80のコツ」には、思わず「ちょっとした~にしては、数が多すぎ!」とツッコミを入れたい気分にもなりますが、確かに文章の書き方、そのポイントについて項目を細かくあげていったら、80でも足りないかもしれません。
久々に更新する小欄ですが、さて今後何を書いていこうか――。伝わる文章を書くテクニックやコツをあげていくとなると、70~80本とはいわないまでも、かなりのボリュームになりそうですし、ある程度は順序立てて書くことも必要でしょう。
それならば、反対に「伝わらない原因」を考えてみてはどうだろうか? という実に“都合のいい”発想で、思いつくままに書き始めてみることにした次第です。
「書けば読まれる」が当たり前だった
文章が読まれない原因を探るシリーズ、第1回で取りあげるのは「相手が“読みたい”と思っていない」です。
(皆さん、コケないようにお願いします^^)
私たちが「書く」ことを本格的に習い始めたのは、おそらく小学校の国語の時間からでしょう。遠足の作文を書き、絵日記を書き、はたまた読書感想文を書きながら、原稿用紙と格闘してきたわけです。それ以来、就職して社会に出るまで「書く」課題を与えられ続けてきたのですが、その過程で実はこんな“常識”を身につけてしまっているのです。
それは、
「書いたものは必ず読まれる」
ということ。
振り返ってみれば、作文にしても、大学時代のレポートにしても、内容はともかく提出しさえすれば必ず読まれるという前提、あるいは権利があったわけですね。ところが社会に出てからは、この常識が通用しなくなります。読まれる(=読んでいただく)ためには相手への配慮や工夫が必要になるのです。
思い込みを自覚することが出発点
ところが、この配慮や工夫がないまま、いわば学生時代と同じような気分で書いたものを発信してしまうケースが多いのです。
それは、相手にかかる負担(迷惑!)を無視した「長い文章」だったり、読まれ方を意識しないで書かれた「くどい文章」であったり……。詳細は今後この欄でお伝えしていく予定ですが、まずは大前提としてこう肝に銘じることが必要なのだと思います。
相手はあなたの文章を「読みたい」と思っていない。
少々大げさな言い方かもしれませんが、書いたものは必ず読まれるという“保育器”の中で育てられた私たちが、伝わる文章を書くうえで最初に意識すべきこと――と、私は思います。
「読みたい」と思っていない相手を前提に考えると、ではどうすれば読んでもらえるのか、どうすれば読みやすく書き手のメッセージが伝わるのか、ということを“真剣に考える”必要が生じます。
まさに、この必要を感じるところが出発点。ここを通ることなく「伝わる文章」を書くのは“至難の業”といえるでしょう。これまでの常識、あるいは思い込みを切り替える必要があるのです。
◆まとめ
伝わる文章を書くためには、常識を替える必要がある。
「書いたものは必ず読まれる」から
「相手は“読みたい”と思っていない」へ。

◆次回セミナー
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◆著書のご紹介
すぐできる!伝わる文章の書き方 赤羽博之・著
日本能率協会マネジメントセンター・刊 1,300円+税